第三章 基本方針等(7・8条) | 動物愛護法を読んでみよう

第三章 動物の適切な取り扱い・第一節 総則(7条・8条)

 
 では、第三章です。
この章はめちゃくちゃ重要です。その証拠を目次に戻って確認してみましょう。

 第一章 総則(第一条―第四条)
 第二章 基本指針等(第五条・第六条)
 第三章 動物の適正な取扱い
  第一節 総則(第七条―第九条)
  第二節 動物取扱業の規制(第十条―第二十四条)
  第三節 周辺の生活環境の保全に係る措置(第二十五条)
  第四節 動物による人の生命等に対する侵害を防止するための措置(第二十六条―第三十三条)
  第五節 動物愛護担当職員(第三十四条)
 第四章 都道府県等の措置等(第三十五条―第三十九条)
 第五章 雑則(第四十条―第四十三条)
 第六章 罰則(第四十四条―第五十条)

 何か気がつきませんか?

 そう!! 第三章が他の章に比較して、条文の数が多いんです。

 第一章  4条
 第二章  2条
 第三章 28条
 第四章  5条
 第五章  4条
 第六章  7条

 法典というものは、条文の数が多い章ほど、その内容に重きを置いている傾向があります。動物愛護法もその傾向に漏れず、第三章はとても重要です。

 では早速、内容を見ていきましょう。

(動物の所有者又は占有者の責務等)
  第七条  動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者としての責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。
  2  動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うように努めなければならない。
  3  動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置として環境大臣が定めるものを講ずるように努めなければならない。   4  環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管に関しよるべき基準を定めることができる。

 第二章は環境大臣と地方公共団体の責任を規定していましたよね。第七条の第一節では、犬の飼い主のような動物の所有者や占有者の責任を規定しています。

 「占有者」という言葉は聞きなれないですよね。

 占有者とは、例えばペットホテルで犬を預かったとき、ペットホテルの従業員は飼い主さんではないですけど、犬を管理する責任があるわけですよ。そのような人をさす言葉です。

 他の例としては、最近流行のペットシッターさんとか、トリマーさんが一時的に犬を預かったときも占有者になります。

 それで、第七条の意味は、動物の飼い主さんとかペットホテルの従業員さんは、「飼い主なんだから」あるいは「お客様からお預かりした責任があるんだから」、回りに迷惑をかけないように、きちんと面倒見なさいね、ということです。

 第二項と第三項は、端的に言うと狂犬病の予防接種とマイクロチップの埋め込み義務ですね。マイクロチップはとうとう義務化されましたね。迷い犬とか盗難にあったときに、判別する手がかりは多いほうが良いですから、個人的には歓迎です。

 第四項は環境大臣が決める基準ですが、「動物の飼養および保管の基準」って聞いたことあります?実は、ちゃんとあるんですよね。

リンク先:「動物の飼養および保管の基準」

 表題に「告示」ってありますが、これに違反したからといって逮捕されるとか、そういうことはないです。ただ、この基準は、地方公共団体での動物管理方針に影響します。詳しくは第九条で説明します。

(動物販売業者の責務)
 第八条  動物の販売を業として行う者は、当該販売に係る動物の購入者に対し、当該動物の適正な飼養又は保管の方法について、必要な説明を行い、理解させるように努めなければならない。

 第八条は動物販売業者の責務です。動物販売業者は読んで字のごとく、ペットショップとかブリーダーさんですね。

第三章のまとめ

 第二章の内容をまとめると・・・

  • 動物の愛護と管理の方針は環境大臣が決める責任がある
  • 都道府県単位では、動物愛護管理推進計画を定める責任がある

 こんな感じでしょうか?では、続きに行きましょう!!